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カルティエ プリヴェに加わったタンクの始祖であるタンク ノルマルほど、神話的なモデルはない。

毎年、カルティエファンは、メゾンの最も歴史的かつ“神話的”モデルを集めた“コレクターズアイテムの中のコレクターズアイテム”と当ブランドが呼ぶ限定コレクション、カルティエ プリヴェ(Cartier Privé)の最新作が発表されるのを期待している。そして、今回カルティエ プリヴェに加わったタンクの始祖であるタンク ノルマルほど、神話的なモデルはない。

The Cartier Tank Normale watch in yellow gold
Ryan Hopkinson © Cartier

The Cartier Tank Normale watch in platinum
Ryan Hopkinson © Cartier

1917年にルイ・カルティエスーパーコピー優良サイトがデザインし、1919年に発売されたタンクは、第一次世界大戦の塹壕戦で活躍したルノー型戦車の俯瞰図からヒントを得ている。時計製造史において最も象徴的なデザインのひとつとしては残酷な(文字通り)インスピレーションではあるが、カルティエがその後、多くのバリエーションのタンクを発表するきっかけとなったのは言うに及ばない。

 長い沈黙の末に、タンク ノルマルは、クラッシュ、タンク サントレ、トノー、タンク アシメトリック、クロシュ、タンク シノワーズとともに、カルティエの過去と現在のギャップを埋める他のバリエーション(そして他のアイコニックな時計)として加わることができたのは、至極当然に思われる。

 この復刻版タンク ノルマルは、1917年に発表された初代タンク ノルマルの象徴的な特徴を数多く備えており、同じプロポーションと面取りが施されたサファイアクリスタル、内側のレイルウェイ ミニッツトラックとVII数字の中に誕生年である“1917”が隠された美しいローマンダイヤル、ポリッシュされた面取りとは対照的なサテン仕上げのケースと“ブランカード(フランス語で“担架”を意味し、タンクのケース側面が担架のハンドルに似ていることからその名がついた)”スタイルなどが受け継がれている。

 そのプロポーションは、初代の縦29.6mm×横23mmから、より現代的な32.6mm×25.7mmにサイズアップされている。YGのタンク ノルマルにはリューズにブルーサファイアのカボションとブラウンのアリゲーターストラップが、Ptにはルビーカボションとブラックのアリゲーターストラップが付属する。それぞれ200本の限定生産となる。しかし、それだけではないのだ。

The Tank Normale Skeleton in yellow gold
Ryan Hopkinson © Cartier

The Tank Normale Skeleton in platinum
Ryan Hopkinson © Cartier

 この時計を現代に蘇らせるため、カルティエはYGとPtのタンク ノルマルを各50本追加生産するそうだ。この2モデルは、カルティエが得意とするスケルトンムーブメントを搭載し、24時間ムーブメントのブリッジに同色のアクセントが施されている。そう、このモデルに関しては、長針が通常通り1時間に1回転するのに対して時針は24時間かけてダイヤルを1回転するのだ。

 さらに混乱するのは、12時(正午)が一番上にあることだ(一般的な24時間ダイヤルが0時から始まるのとは対照的だ)。ダイヤル上半分には太陽を象ったブリッジ、下半分には三日月を象ったブリッジがあしらわれている。

 さらに、それでも足りないということなら、ダイヤモンドをセットしたPtモデルのスケルトン仕様のノーマルも20本発表されている。なんてワイルドなんだ。

The Cartier Normale in platinum and yellow gold on bracelets
Ryan Hopkinson © Cartier

 そしてカルティエ プリヴェ コレクションでは初めて、YGとPtのタンク ノルマルが、それぞれ限定100本で、同素材のブレスレットで登場する。ヴィンテージ・カルティエのコレクターや愛好家はしばしば、これをヒストリカルコレクションの極北と見なしている。サテン仕上げのケースは、サテン仕上げのブレスレットまで続き、完全に一体化することなく、ほぼシームレスに見えるようデザイン上の配慮がなされた。

我々の考え
 このリリースで、今年のWatches & Wondersの取材はもう終わりといってもいいかもしれない。もちろん冗談だが、半ば本気だ。このリリースは、私がカルティエに期待していたものであり、カルティエは見事その期待に応えてくれたからだ。

The Cartier Privé Normale in yellow gold
Antoine Pividori © Cartier

The Cartier Privé Normale with diamonds
Antoine Pividori © Cartier

 かつてのタンク ノルマルは、発売から2年間しか生産されなかったため、長いあいだ眠れる存在だった。そして、より男性的なサイズ感を持つタンク サントレや大胆なデザインであるクラッシュは、コレクターの憧れの的となったが、タンク ノルマルは、そのすべての始祖として称賛に値する存在だ。多くの時計コレクターが、カルティエがタンクコレクションを締めくくるためにタンク ノルマルを復刻することを待ち望んでいたのを私は知っているが、彼らが失望することはないだろう。

 カルティエはディテールにこだわるメゾンである。サテン仕上げのブランカードや傾斜状のシェイプにカットされた風防などの採用を、発表以来、私が話をした時計コレクターたちはすぐに気に入ったようだ。スケルトン仕様は、それ自体は突飛なものではなかったが、24時間コンプリケーション(上下反転)は、間違いなく驚きだった。

 1940年代のタンク ノルマルの“エペ(epée)針”ではなく、初代を彷彿とさせる“ブレゲ”針を採用して欲しかったと思わなくはない。しかし、その程度のことは、この作品のデザインを実に高めているブレスレットに比べれば、はるかに重要なことではない。

The Cartier Privé Normale platinum on bracelet
Ryan Hopkinson © Cartier

 私はカルティエのブレスレットマニアだ。1920年代以降のカルティエのブレスレットの発展を理解するために、何日もかけて研究し、勉強してきた。このスタイルのブレスレットを備えたPtのタンクは、濫用を承知でいうと、私のグレイル(宝物)だ。

 歴史の講義は別の機会に譲るとして、カルティエがついにブレスレット仕様のカルティエ プリヴェを発表し、しかも1920年代の“ア・マイヨン(à maillons)”ブレスレットを完全に模倣したものを発表したことに拍手を送りたい。あとは、778万8000円(Pt)の価格だけが、私の夢の時計と私のあいだを隔つだけである。

基本情報
ブランド:カルティエ
モデル:カルティエ プリヴェ タンク ノルマル

直径:32.6mm×25.7mm(レザーストラップ仕様)、35.2mm×27.8mm(スケルトン仕様)、32.6mm×25.7mm(ブレスレット仕様)
厚み:6.85mm(標準・ブレスレット仕様)、8.15mm(スケルトン仕様)
ケース素材:18KYG、Pt950/1000
ダイヤルカラー:サテン仕上げのグレー文字盤(標準・ブレスレット仕様)、サテン仕上げとダークグレーギヨシェ仕上げ(Pt、YGスケルトン仕様)、サテン仕上げとハンマードダイヤモンドような仕上がり(Ptxダイヤモンド仕様)
インデックス:ローマ数字
防水性能:非防水
ストラップ/ブレスレット:ブラックまたはブラウンのアリゲーターストラップ(標準仕様)、18KYGまたはPt製ブレスレット(ブレスレット仕様)、交換可能なセミマット交換可能なグレーとボルドーのアリゲーターストラップ(Ptスケルトン仕様)、交換可能なブラウンとグリーンのアリゲーターストラップ(Ptスケルトン仕様)、交換可能なブルーとダークブルーのアリゲーターストラップ(Ptxダイヤモンド仕様)

The skeleton Tank Normale
Ryan Hopkinson © Cartier

ムーブメント情報
キャリバー:Cal.070(標準、ブレスレット仕様)、Cal.9628 MC(スケルトン仕様)
機能:時、分(標準、ブレスレット仕様)、時、分、24時間デイ/ナイト表示(スケルトン仕様)
直径:15.29mm(標準、ブレスレット仕様)、22.38mm
厚み:2.15mm(標準、ブレスレット仕様)、3.9mm(スケルトン仕様)
パワーリザーブ:38時間(標準、ブレスレット仕様)、36時間(スケルトン仕様)
巻き上げ方式:手巻き
振動数:2万5200振動/時(標準、ブレスレット仕様)、2万1600振動/時(スケルトン仕様)
石数:情報あり次第アップデート

価格&発売時期
価格:ストラップモデル 506万8800円(Pt)、451万4400円(YG)、ブレスレットモデル 778万8000円(Pt)、679万8000円(YG)、スケルトンモデル 1168万2000円(Pt)、1036万2000円(YG)、ダイヤセットモデル 1557万6000円(すべて税込予価)
発売時期:今春予定
限定モデル:ストラップモデルは各200本。ブレスレットモデルは各100本。スケルトンモデルは各50本。ダイヤセットモデルは20本。

チューダー ブラックベイに新生バーガンディベゼルが登場。

ル・ロックルに構えるチューダーの新しいマニュファクチュールから、フルボディのワインレッドベゼルを持つブラックベイが登場した。この時計は防水性、パワーリザーブ、耐磁性、精度のテストを経て、METASマスタークロノメーター認定を受けている。これはチューダーが将来的に、全ラインナップをMETAS化する計画であることを示唆している。

チューダー ブラックベイ バーガンディベゼルの3機種
この時計は、チューダースーパーコピー代引きのマニュファクチュールキャリバーMT5602-Uを搭載しており、特に“ウィークエンドプルーフ”(約70時間であれば、巻き上げをせずに時計を外さなくていいこと)を実現したスグレものだ(以前から自社製ムーブメントにあったものだが、やはりあるとうれしい)。また非磁性ヒゲゼンマイの採用により、日差5秒以内の精度で時を刻んでいく。

2012年に初代ブラックベイがバーガンディベゼルで発売され、それは2015年に復活を果たしている。そして今、この時計は、バーガンディベゼルに美しいブラックの文字盤、スティールケース、そして少し手が加えられたユニークな針で、かつての赤のルーツに立ち返った。初代のBBより薄くなったとはいえ、ドーム型サファイアクリスタル風防を用いているため41mmと、少し大き目だ。また、チューダーローズをあしらったねじ込み式リューズのデザインも一新している。ブレスレットにはサテン仕上げの3連リンクのSSブレスレット、またはサテン仕上げとポリッシュ仕上げを組み合わせた、5連の楕円形リンクを持つSSブレスレットのいずれかから選択が可能だ。ブレスレットが不要な方の場合は、ラバーストラップのオプションもある。3つの機種すべてには、マイクロアジャストが簡単にできる、チューダー独自の“T-fit”クイックアジャストクラスプをセットしている。

我々の考え
カラーは多ければ多いほどいい! このような美しいブレスレットに、この豊かな色合いのレッドが戻ってきたことに興奮を覚えている。当初の思いが成就した感じだ。スノーフレーク針とインデックスに配された夜光がより一層際立って見えて、2012年の時計よりもバランスが取れているようにも感じるのだがそれはまた別の話で、少し微妙なところだ。

チューダー ブラックベイ バーガンディベゼル、5連リンクブレスのイメージカット
METAS認証はエキサイティングで、かなり印象に残るだろう。新しいマニュファクチュール、そしてこの新たなMETAS認証は、チューダーにとって大きな意味を持つものであり、そしてブランドとしての真の実力を同時に示している。また耐磁性や200m防水もダントツに刺さるが、特にラバーストラップの“T-fit”は使い勝手がいいと感じている。そして60万円以下で、一流のスポーティな時計づくりというきれいなパッケージを手に入れることができるのだから、文句のつけようがないのである。

基本情報
ブランド: チューダー(Tudor)
モデル名: ブラックベイ(Black Bay)
型番: M7941A1A0RU-0001(3連リンクのSSブレスレット)、-0002(ラバーストラップ)、-0003(5連リンクのSSブレスレット)

直径: 41mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: ブラック
インデックス: アプライド
夜光: あり、針とインデックス
防水性能: 200m
ストラップ/ブレスレット: 3連リンクのSSブレスレット、5連リンクのSSブレスレット、ラバーストラップ。いずれも“T-fit”クイックアジャストクラスプが付属

チューダー ブラックベイ バーガンディベゼル3機種の正面カット
ムーブメント情報
キャリバー: MT5602-U
機能: 時・分・秒
直径: 31.88mm
厚み: 6.5mm
パワーリザーブ: 約70時間
巻き上げ方式: 自動巻き、両方向回転ローター
振動数: 2万8800振動/時
石数: 25
クロノメーター: COSCとMETAS認定

チューダー ブラックベイ バーガンディベゼルのリストショット
価格 & 発売時期
価格: 5連リンクSSブレスは57万2000円(税込)、3連リンクSSブレスは55万8800円(税込)、ラバーストラップは53万1300円。すべて税込